
この記事を読むべき人
「自動倉庫」という言葉は知っているものの、具体的にどのような仕組みなのかまだよくわからない方
自動倉庫の種類や、導入するとどのようなメリットがあるのかを基礎から知りたい方
この記事でわかること
- 自動倉庫とは何をする仕組みなのか
- 自動倉庫の基本的な動きと主な種類
- 自動倉庫を導入する主なメリット
倉庫自動化について調べていると、よく目にするのが「自動倉庫」という言葉です。
名前から「倉庫の中がすべて自動で動く仕組み」を想像するかもしれません。しかし、自動倉庫が主に担うのは、倉庫業務の中でも商品の保管・管理から取り出しに関わる部分です。
前回の記事では、倉庫自動化とは、倉庫内の作業と情報の流れを見直し、設備・ロボット・システムなどを使って、より効率よく安定して運営できるようにする取り組みだと説明しました。自動倉庫は、その倉庫自動化を実現する手段のひとつです。
今回は、自動倉庫では商品がどのように保管・取り出されるのか、普通の保管棚と何が違うのか、どのような種類があるのかを、初めて調べる方にもイメージしやすいように整理します。
自動倉庫とは?普通の保管棚と何が違うのか

自動倉庫とは、いわゆるGTP(Good To Person)と呼ばれるカテゴリに属する倉庫自動化設備の1つで、商品の保管場所への格納や、必要な商品の取り出しを自動で行う仕組みです。
一般的な保管棚では、作業者が商品を棚まで運んで格納し、ピッキングを行う際には作業者が棚まで行って(Person To Goods)対象の商品を探し、取り出します。荷物を大きな単位で扱う場合には、フォークリフトで同じような作業を行うこともあります。
自動倉庫では、この「保管場所まで運ぶ」「格納する」「必要な荷物を取り出す」といった作業の一部を、設備やロボットが担うことで、人が物を取りに行くという従来の動きを物を人の方に自動で運んでくるという状態を作り出します。
商品を保管するラック、荷物を格納・搬送・取り出す設備やロボット、それらの動きを管理するシステムなどが組み合わさって動く仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
英語では、ASRS(Automated Storage and Retrieval System)と呼ばれ、AS/RSと表記されることもあります。ASRSは、荷物を必要に応じて保管・取り出すための設備と制御を組み合わせたシステムです。[1]
自動倉庫はどう動く?入庫から出庫までの基本的な仕組み

自動倉庫にはさまざまな仕組みがありますが、基本となるのは、荷物を保管場所へ格納し、必要になったときに取り出すという動きです。
自動倉庫がどのようなものかをイメージするには、まず「商品がどのように動くのか」を追うと、仕組みを理解しやすくなります。
商品を受け取り、保管場所へ格納する
まず、倉庫へ入ってきた商品を自動倉庫へ渡します。
商品を受け取ると、システムが保管場所を管理し、設備やロボットが所定の場所まで運んで格納します。
従来は人が棚まで商品を運び、指定された場所を確認して格納していた工程の一部を、自動倉庫が担うイメージです。
必要になった商品を取り出す
出荷やピッキングなどで商品が必要になると、システムから出庫の指示が出されます。
対象の商品が保管されている場所から、設備やロボットが荷物やコンテナなどを取り出し、作業者が作業する場所や次の工程へ渡します。
基本的な流れは、
入庫 → 保管 → 必要な商品を取り出す → 作業者や次工程へ渡す
と捉えることができます。
自動倉庫は前後の工程とつながって使われる
自動倉庫だけで、倉庫の仕事が完結するわけではありません。
実際の倉庫では、入荷した商品の検品や補充があり、保管された商品を取り出した後には、ピッキング、検品、梱包、出荷などの工程があります。
自動倉庫はこうした一連の業務の中に組み込まれるため、商品をどう保管するかだけでなく、どのように自動倉庫へ入れ、取り出した商品を次の工程へ渡すかという前後の流れも重要になります。
自動倉庫にはどのような種類があるのか

自動倉庫は、何をどのような単位で保管するのかによって、仕組みが変わります。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の「物流システム機器生産出荷統計」では、自動倉庫を「パレット用自動倉庫」と「バケット用自動倉庫」に分けて整理しています。パレット用は、ユニット化した荷物を多段高層の棚などに自動で搬入・搬送・搬出するもの、バケット用は、通箱、バケット、カートンなどを単位として自動で扱うものです。[2]
このほか、一般的なパレットやバケットでは扱いにくい荷物に合わせて設計された自動倉庫もあります。
そこでこの記事では、全体像をつかみやすくするため、パレット型、バケット型、用途に特化した自動倉庫の3つに整理して見ていきます。
パレット型自動倉庫
パレット型自動倉庫は、商品や原材料などをひとまとまりの荷物として保管・入出庫するタイプです。
荷物を載せた台ごと多段高層のラックに格納し、スタッカークレーンなどの設備を使って自動で出し入れします。
まとまった単位で荷物を保管・移動する物流センターや工場などで使われます。
バケット型自動倉庫
バケット型自動倉庫は、商品を入れた通箱やコンテナ、ビン、トートなどを単位として保管・入出庫するタイプです。
パレット型が比較的大きな荷物のまとまりを扱うのに対し、バケット型では、複数の商品を入れたコンテナなどを一つの保管単位として管理できます。
仕組みによっては、必要な商品が入ったコンテナを自動倉庫から取り出し、ピッキングを行う作業ステーションまで運びます。作業者が保管棚の間を歩いて商品を探すのではなく、商品が入ったコンテナが作業者のところまで運ばれてくる仕組みです。
こうした「商品を人のところへ運ぶ」考え方は、Goods-to-Person(GTP)と呼ばれます。物流倉庫では、ロボットやコンベヤなどを使って商品や商品を収めた棚・コンテナを作業者のもとへ運び、そこでピッキングを行います。バケット型自動倉庫の中にも、このGTPを実現する仕組みとして使われるものがあります。[3]
バケット型にもさまざまな仕組みがあります。本記事では大きな違いを理解しやすくするため、スタッカークレーンやシャトルなどを用いるものを「機械式」、ロボットが商品の搬送や取り出しを担うものを「ロボット式」と整理します。
さらに同じロボット式でも、メーカーや製品によって、採用する保管構造やロボットの動き、商品へのアクセス方法などが異なります。 高密度に配置したコンテナへロボットがアクセスするものや、ラック内をロボットが移動して商品を取り出すものなど、複数のアプローチがあります。[4]
用途に特化した自動倉庫
一般的なパレットやバケットでは扱いにくい荷物に合わせて設計された自動倉庫もあります。
長尺物や重量物など、荷物の形状や取り扱い方によっては、それに合わせた専用の保管・入出庫方法が必要になります。
つまり、「自動倉庫」といっても一つの決まった形があるわけではなく、何をどのような単位で保管するのか、どのように取り出すのかによって仕組みが変わります。
自動倉庫を導入するメリットとは?

自動倉庫を導入し、商品の保管や入出庫を自動化することで、商品を探す・運ぶための移動を減らしやすくなること、倉庫の保管スペースを活用しやすくなること、保管・入出庫の作業を安定させやすくなることなどのメリットがあります。
ただし、どの自動倉庫でも同じ効果が得られるわけではありません。どのようなメリットを得られるかは、製品の仕組みと、扱う商品や物量、倉庫の条件との相性によって変わります。
主なメリット1:商品を探す・運ぶための移動を減らしやすい
一般的な保管棚では、商品を格納したり取り出したりするたびに、作業者が保管場所まで移動する必要があります。
一方、商品やコンテナを作業者の近くまで運ぶ仕組みでは、作業者が棚の間を何度も往復する時間を減らしやすくなります。
これは、Vol.2の「自社倉庫の改善ポイントの見つけ方」で整理した「歩く・探す・運ぶ」といった工程の改善にもつながります。
主なメリット2:倉庫の保管スペースを活用しやすい
高さ方向まで保管スペースとして活用できる自動倉庫では、床面積だけでなく、倉庫上部の空間も商品の保管に使うことができます。
また、人が棚まで商品を取りに行くことを前提としない仕組みでは、作業者が移動するための通路を抑え、商品をより高密度に保管できる場合もあります。
そのため、限られた倉庫スペースの中でも、保管できる商品量を増やしやすくなります。
主なメリット3:保管・入出庫の作業を安定させやすい
自動倉庫では、商品の保管場所や取り出しをシステムで管理します。
そのため、人がその都度保管場所を判断したり、経験を頼りに商品を探したりする場面を減らし、決められた流れに沿って保管・入出庫を行いやすくなります。
人による判断や作業方法の違いに左右されにくくなることで、日々の倉庫運営を安定させやすくなることも、自動倉庫を導入するメリットのひとつです。
ただし、自動倉庫を導入したからといって、人の仕事がすべてなくなるわけではありません。
保管や搬送、取り出しといった定型的な作業の一部を設備・ロボットが担う一方で、人はピッキングや商品の確認、例外への対応、状況に応じた判断などを担当します。
自動倉庫の導入は、単に作業を自動化するだけでなく、人が行う仕事と設備・ロボットが担う仕事の分担を見直すことにもつながります。
自動倉庫は、メーカーや製品によって仕組みや特徴が異なる

ロボット式自動倉庫と一口にいっても、メーカーや製品によって、その構造やロボットの動き方は大きく異なります。
たとえば、コンテナを高密度に積み重ね、その上をロボットが走行して必要なコンテナを取り出す仕組みもあれば、ラックの通路や高さ方向をロボットが移動しながら、必要なコンテナへ直接アクセスする仕組みもあります。また、水平移動と上下移動を別々の装置が担う構成などもあります。[4]
当社の「ラピュタASRS」も、こうしたロボット式自動倉庫のひとつです。商品を専用のビン(コンテナ)に入れて多階層の構造内に保管し、必要な商品が入ったビンをロボットが取り出して、ピッキングを行う作業者のもとへ搬送します。
ロボットはエレベーターを利用して階層間を移動し、各階層ではラック内を走行して、保管されているビンへ直接アクセスします。これにより、保管と搬送をひとつの多階層空間の中で行うことができます。また、ブロック単位で構造を組み上げることで、倉庫の形状に合わせてレイアウトを構成できることも特徴のひとつです。
これは、ロボット式自動倉庫の仕組みの一例です。ほかのメーカーの製品では、同じロボット式自動倉庫と呼ばれていても、商品の保管方法やロボットが動く場所、商品へのアクセス方法などが異なります。
こうした違いは、保管スペースの使い方や、商品の流れ、倉庫内のレイアウト、前後工程とのつながり方にも関係します。
そのため、実際に自動倉庫を検討する段階では、各社の製品がどのような仕組みで保管・搬送・取り出しを行うのかを理解することが大切です。
ただし、初めて自動倉庫を調べる段階で、細かな違いをすべて理解する必要はありません。まずは、同じロボット式でもメーカーや製品によって仕組みや特徴が異なり、自社の倉庫に合うものも変わる、と理解しておけば十分です。
自動倉庫の基本は「保管・取り出し」の自動化
自動倉庫は、商品の保管や入出庫の一部を、設備・ロボット・システムなどによって自動化する仕組みです。
パレット型やバケット型など、扱う荷物によって大きな違いがあるだけでなく、上記で述べたように同じロボット式でも、メーカーや製品によって保管方法やロボットの動き、商品の取り出し方は異なります。
まずは、倉庫自動化の中で自動倉庫がどのような役割を担うのかを理解し、そのうえで、メーカーや製品によって保管・搬送・取り出しの仕組みに違いがあることを押さえておきましょう。
一方、倉庫で使われる自動化の手段は自動倉庫だけではありません。AMRやAGVなど、商品の搬送を担う物流ロボットもあり、それぞれ役割や得意とする作業が異なります。
次の記事では、AMR・AGV・ASRSなど、倉庫自動化を調べる中でよく目にする用語と、それぞれの役割の違いを整理します。自動倉庫の基本を理解した次のステップとして、倉庫の中でそれぞれがどのような役割を持つのかを見ていきましょう。

この記事のおさらい
Q. 自動倉庫とは、どのような仕組みですか?
A.自動倉庫は、商品の保管場所への格納や、必要になった商品の取り出しを自動で行う仕組みです。ラック、荷物を動かす設備やロボット、それらを管理するシステムなどを組み合わせ、入庫した商品を保管し、必要なときに作業者や次の工程へ渡します。
Q. 自動倉庫には、どのような種類がありますか?
A.大きく整理すると、荷物をパレット単位で扱うパレット型、コンテナやビン、トートなどを単位として扱うバケット型、特定の荷物や用途に合わせて設計された自動倉庫などがあります。さらに、同じロボット式でもメーカーや製品によって、保管方法や商品の取り出し方は異なります。
Q. 倉庫自動化には、どのような方法がありますか?
A.大きく3つのタイプに分けられます。作業そのものを機械に任せる方法、情報と指示を整える方法、状況が見えるようにする方法です。 この3つはどれかを選ぶものではなく、組み合わせて使います。機械を入れる場合でも、情報と指示が整っていないと思ったように動いてくれません。順番としては、情報を整えるほうが先になると思っておくと現実的です。
Q. 自動倉庫を導入すると、どのようなメリットがありますか?
A.商品を探したり運んだりするための移動作業を減らすほか、高さ方向や通路部分を含めて保管スペースを活用しやすくなります。また、商品の保管場所や取り出しをシステムで管理することで、保管・入出庫の作業を安定させやすくなります。ただし、得られるメリットは製品の仕組みと倉庫の条件との相性によって異なります。
Q. 自動倉庫は、製品によって適している現場が違いますか?
A. はい。同じロボット式でもメーカーや製品によって、保管の仕組みやロボットの動き、商品の取り出し方などが異なります。扱う荷物や物量、倉庫の条件、前後の工程などによって自社に合う製品も変わるため、特定の仕組みだけが一律に優れているわけではありません。

- Vol.1: 「まだ人で回せる」はいつまで続く?いま、倉庫自動化が必要と言われる理由
- Vol.2: 自動化を考える前に確認したい、自社倉庫の改善ポイントの見つけ方
- Vol.3: 倉庫自動化とは?できること・対象業務・3つのタイプを整理
- Vol.4: 自動倉庫とは?仕組み・種類・メリットをわかりやすく解説
- Vol.5: 物流ロボットの種類とは?AMR・AGV・ASRSの違いを整理(9月下旬公開予定)
出典
[1]MHI, ASRS Industry Group「What is ASRS?」
[2]公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会「物流システム機器生産出荷統計」
[3]Modern Materials Handling
[4]DC Velocity / Modern Materials Handling
