自動倉庫を比較する前に知るべき基本|自動倉庫の種類・ロボット式分類と選定視点 

日付: 2026-06-10
カテゴリー: ASRS, ブログ, プロダクト, 倉庫自動化の知識

物流現場の自動化を検討し始めると、まず悩みやすいのが「自動倉庫にはどのような種類があるのか」「自社にはどの方式が合うのか」という点です。 

自動倉庫と一口にいっても、パレットを保管するもの、バケットやコンテナ単位で保管するもの、特定の製品や用途に特化したものなど、さまざまな方式があります。さらに近年では、ロボット技術の進化により、従来の機械式とは異なるロボット式自動倉庫の選択肢も増えています。 

ただし、自動倉庫はいまや、業種やBtoB・BtoCの違いだけで選べるものではありません。重要なのは、取り扱う荷姿、SKU数、出荷頻度、出荷波動、保管効率、作業設計、将来の拡張性といった現場条件に合っているかどうかです。 

そうした自社の現場条件に合った「自動倉庫」というソリューションを見つけるためには、いきなり個別のメーカーや製品を比較するのではなく、まず「自動倉庫とはそもそも何か」理解する必要があります。  

そこで本記事では、「JIS B 8941:自動倉庫用語」に基づく分類をもとに自動倉庫の全体像を整理したうえで、近年選択肢が増えているロボット式自動倉庫の5分類と、こうしたロボット式から自社に合う自動倉庫を見極めるうえで押さえておきたい考え方を解説します。 

自動倉庫にはどのような種類があるのか 

「そもそも自動倉庫とは何なのか」をしっかり理解するために、まずは自動倉庫の分類を理解してみましょう。 

自動倉庫は、保管する荷姿や用途、搬送・取り出しの仕組みによって分類できます。JIS規格に基づいて整理すると、主に以下のような構造で捉えることができます。 

それぞれ、保管する対象や現場で求められる役割が異なります。 

パレット型自動倉庫 

パレット型自動倉庫は、パレットに積載された荷物をそのまま保管・管理する方式です。 

製造業や卸売業など、パレット単位での入出庫が多い現場で使われることが多く、大量保管や一定単位での搬送に向いています。従来から広く活用されている自動倉庫の代表的な方式のひとつです。 

バケット型自動倉庫 

バケット型自動倉庫は、専用コンテナ(ビン、トート等と呼ばれる)単位で商品を保管・管理する方式です。 

EC、アパレル、部品管理、医薬品、日用品など、多品種の商品を扱う現場で活用されることが多く、ピース単位やケース単位の出荷との相性が良い方式です。 

バケット型自動倉庫には、スタッカークレーンやシャトル等を用いる機械式と、ロボットが搬送や取り出しを担うロボット式があります。近年は、ロボット技術の進化により、このバケット型自動倉庫の中でもロボット式の選択肢が広がっています。 

用途特化型自動倉庫 

用途特化型自動倉庫は、特定の荷物や業界用途に合わせて設計された自動倉庫です。 

たとえば、自動車の車体、製紙会社で製造される原反と呼ばれる紙ロール、半導体関連の部材、自動車部品などの長尺物や重量物など、一般的なパレットやバケットでは扱いにくい対象に特化した方式があります。 

このように、自動倉庫には複数の種類があります。中でも本記事では、近年選択肢が増え、選定時の比較が難しくなっている「バケット型自動倉庫のロボット式」に焦点を当てます。 

なぜロボット式自動倉庫が注目されているのか 

近年新たなメーカーや製品の参入が非常に多いのが、バケット型自動倉庫をロボットで構成するロボット式の自動倉庫です。ロボット式自動倉庫が注目されている背景には、物流現場の課題だけでなく、ロボット技術そのものの進化があります。 

まず、ロボット技術やバッテリー性能の向上により、倉庫内で一定の重量物を長時間、安定して搬送しやすくなりました。これにより、保管・搬送の領域にもロボットを活用しやすくなっています。 

また、ロボット式自動倉庫では、設備の稼働状況や搬送状況など、取得できるデータのポイントが増えます。DXや現場改善の重要性が高まる中で、データをもとに業務改善へつなげやすいことも注目される理由のひとつです。 

さらに、複数台のロボットで搬送や取り出しを行うため、従来のクレーン式とは異なる冗長性を持ちやすい点も特徴です。特定の設備が止まった場合でも、構成によっては別のロボットがカバーできるため、設備停止時の影響を抑えやすくなります。 

加えて、ロボット式自動倉庫は、新規倉庫だけでなく既存倉庫への導入が検討されるケースも増えています。現場条件に合わせた設計や段階的な導入を検討しやすいことも、選択肢として存在感を高めている理由です。 

また、どこか特定の箇所に故障が生じた場合にシステム全体や棚一列すべてが停止してしまうSingle Point of Failureを無くすことができる、つまりロボット1台が停止しても他のロボットがそれをカバーして稼働を継続できるという点も、ロボット式の利点として挙げられます。

ロボット式自動倉庫の5分類 

ロボット式自動倉庫は、一括りにされることがありますが、実際には走行方式や保管の考え方によって複数のタイプに分かれます。 

ここでは、ロボット走行方式の違いをもとに、代表的な5つの分類を整理します。 

なお、この分類は、ロボット式自動倉庫の違いを理解しやすくするために、現在の市場で採用されている物流ロボットの方式を当社独自の視点で大きく整理したものです。例に挙げているメーカーや製品についても当社独自の判断によるものであり、実際には、運用方法、仕様、適用条件などは製品ごとに異なります。詳細はメーカー各社に個別にご確認ください。 

1. 高密度グリッド方式 

高密度グリッド方式は、保管効率の高さが大きな特徴です。 

格子状に構成された保管エリアにコンテナやビンを立体的に格納し、その上部をロボットが走行して、必要なコンテナを取り出します。通路を最小限に抑えながら保管できるため、限られた床面積の中で高い保管効率を実現しやすい方式です。 

都市近郊の倉庫や、保管スペースに制約がある現場、多品種の商品を効率よく保管したい現場などで検討されやすい方式です。 

一方で、コンテナの取り出し順序や在庫配置、出荷頻度とのバランスによって、運用効率が変わることがあります。そのため、保管効率だけでなく、どのようなSKUをどの頻度で取り出すのかを踏まえた設計が重要になります。 

向きやすい現場は、多SKUの商品を高い保管効率で管理したい現場です。 
強みは、空間に対する保管効率を高めやすいことです。 
注意点は、取り出し効率や出荷頻度とのバランス設計が重要になることです。 

メーカー例:AutoStoreなど 

2. 3次元走行方式 

3次元走行方式は、ロボットが水平方向だけでなく、垂直方向にも移動しながらコンテナやビンを搬送する方式です。 

ロボットが高さ方向も含めて動作するため、保管エリア全体を立体的に活用しやすく、保管と搬送を一体で設計できる点が特徴です。 

高層ラック内をロボットが移動しながら必要な荷物へアクセスするため、従来の搬送設備とは異なる柔軟な保管・搬送設計が可能になります。 

一方で、ロボットがどのように走行し、どのように荷物へアクセスするかによって、得意な作業や適した現場は変わります。建屋の高さ、ラック構成、出荷頻度、搬送距離などを踏まえて、現場に合うかどうかを確認する必要があります。 

向きやすい現場は、高さ方向を活用しながら多品種の商品を管理したい現場です。 
強みは、保管エリアを立体的に活用しやすいことです。 
注意点は、走行方式やアクセス方法によって適性が変わりやすいことです。 

メーカー例:Exotec(Skypod)、HAI Robotics(HaiPick Climb)など 

3. 垂直水平分担方式 

垂直水平分担方式は、垂直方向の移動と水平方向の移動を別々のロボットや機構が担当する方式です。 

たとえば、垂直方向の移動はリフトや専用機構が担い、水平方向の搬送はロボットが担うといった考え方です。役割を分担することで、搬送経路や処理能力を設計しやすくなる場合があります。 

この方式は、垂直移動と水平移動を分けて考えられるため、ラック構成や搬送導線を整理しやすい点が特徴です。一定の保管効率を確保しながら、ロボットによる水平搬送の柔軟性を取り入れたい現場で検討されることがあります。 

一方で、垂直移動と水平移動の接続部分が運用上のボトルネックになる可能性もあります。そのため、ピーク時の出荷量や搬送タイミング、作業ステーションとの接続を含めて設計する必要があります。 

向きやすい現場は、垂直搬送と水平搬送を分けて設計したい現場です。 
強みは、役割分担により搬送設計を整理しやすいことです。 
注意点は、垂直移動と水平移動の接続部分が処理能力に影響しやすいことです。 

メーカー例: Libiao Robotics(AirRob)※日本国内では +Automation社が展開 

4. クレーン併用方式 

クレーン併用方式は、垂直方向の移動をクレーンが担い、水平方向の移動をロボットが担う方式です。 

従来の自動倉庫で使われてきたクレーン技術の強みを活かしながら、ロボットによる柔軟な搬送を組み合わせる考え方です。機械式自動倉庫の考え方と、ロボット式の柔軟性を組み合わせた方式ともいえます。 

既存設備との接続や、一定の高さを持つ保管設備への対応を考えやすい場合があります。また、従来型設備の知見を活かしながら、ロボットによる水平搬送を取り入れたい現場では、検討しやすい選択肢になることがあります。 

一方で、クレーン部分とロボット部分の役割分担、制御連携、メンテナンス体制などを事前に確認することが重要です。どちらか一方の性能だけでなく、システム全体として安定運用できるかを見る必要があります。 

向きやすい現場は、従来型設備の考え方を活かしながらロボット搬送を取り入れたい現場です。 
強みは、クレーンの垂直搬送能力とロボットの水平搬送を組み合わせられることです。 
注意点は、クレーンとロボットの連携設計が重要になることです。 

メーカー例:ROMS(Nano-Stream)など 

5. 自在型多層走行方式 

自在型多層走行方式は、ロボットが複数階層の空間を走行しながら、保管エリア全体を柔軟に活用する方式です。 

ロボットが各階層の空間を移動できるため、高い保管効率と生産性の両立を目指しやすい点が特徴です。保管エリア内の空間を多層的に活用しながら、ロボットが必要な場所へアクセスすることで、柔軟な運用設計が可能になります。 

この方式は、今後の物量変化やSKU増加、出荷形態の変化に対応したい現場にとって、選択肢のひとつになり得ます。将来的な拡張性やレイアウト変更への対応力を重視する場合にも、検討対象になります。 

一方で、比較的新しい考え方を含む方式でもあるため、実際の導入実績、保守体制、現場条件との相性、運用開始後のサポート体制などを丁寧に確認することが重要です。 

向きやすい現場は、高い保管効率と柔軟な運用設計を両立したい現場です。 
強みは、多層空間を活用しながらロボットが柔軟に走行できることです。 
注意点は、導入実績や運用条件、サポート体制の確認が特に重要になることです。 

メーカー例:ラピュタロボティクス(ラピュタASRS) 

同じロボット式でも、メーカーや製品ごとに設計思想は異なる 

ここまで、ロボット式自動倉庫の代表的な5分類を見てきました。 

ただし、同じロボット式であっても、メーカーや製品ごとに設計思想は大きく異なります。 

たとえば、同じようにコンテナやビンを扱う自動倉庫でも、限られたスペースでの保管効率を重視する製品もあれば、出荷能力や作業ステーションの生産性を重視する製品もあります。また、将来のレイアウト変更や段階的な拡張性を重視して設計されている製品もあります。 

そのため、方式名だけで単純に判断するのではなく、以下のような違いを確認することが重要です。 

  • どのような荷姿を前提としているか  
  • どのような出荷頻度に向いているか  
  • 保管効率と処理能力をどう両立しているか  
  • ロボット台数やポートをどのように増やせるか  
  • 既存のWMSやマテハン設備とどう接続できるか  
  • 導入後のレイアウト変更にどこまで対応できるか  
  • どのようなデータを取得し、改善に活用できるか  

つまり、「高密度グリッド方式だから保管効率が高い」「3次元走行方式だから処理能力が高い」「自在型多層走行方式だから柔軟性がある」といった見方だけでは、自社に合うかどうかを正しく判断することはできません。 

重要なのは、その方式や製品が、自社の出荷条件、保管条件、作業導線、将来計画にどれだけ合っているかです。 

自動倉庫選定では、経営目線と現場目線の両方が欠かせない 

自動倉庫は、単なる省人化設備ではありません。物流拠点の処理能力や、今後の事業成長を左右する重要な設備投資です。 

経営目線では、出荷能力の上限を引き上げ、売上拡大に対応できる物流基盤をつくることが求められます。倉庫面積あたりの保管効率を高めることや、物流コストを最適化すること、更にはより少人数でより高い生産性を安定的に発揮できる現場を構築することで、倉庫の出荷能力上限を引き上げる(=収益力を高める)ことも重要です。さらに、物流品質を安定させることで、販売機会や顧客信頼の損失を防ぐ役割もあります。 

一方で、現場目線では、日々の運用に無理なく組み込めることが欠かせません。 

保管効率を高めるだけでなく、作業者の動線を短くし、ピッキングや補充の負荷を減らし、繁忙期やイレギュラー対応の中でも安定して運用できることが重要です。 

経営上は投資効果が出ること。現場上は日々の運用に無理がないこと。 

この両方がそろって初めて、自動倉庫の導入は成果につながります。 

スペック表上の処理能力や保管効率だけで比較してしまうと、導入後に「思ったほど出荷能力が上がらない」「現場の例外対応が増えた」「既存業務との接続がうまくいかない」といった問題が起こる可能性があります。 

だからこそ、自動倉庫は “性能の比較”だけでなく、 “経営目線と現場目線の両方に合うか”を見極めることが欠かせません。 

まとめ|自社に合うロボット式自動倉庫を選ぶために 

自動倉庫には、パレット型、バケット型、用途特化型があり、近年はバケット型の中でもロボット式自動倉庫の選択肢が広がっています。 

ただし、ロボット式自動倉庫は、ロボット製品の方式だけで選べるものではありません。同じ方式に見えても、メーカーや製品によって設計思想、保管効率、拡張性、現場への適合性は異なります。 

重要なのは、自社の荷姿、SKU数、出荷頻度、出荷波動、作業設計、将来の事業計画に照らして、どの方式・製品が合っているかを見極めることです。 

以下のホワイトペーパー「製品比較表だけでは分からない「現場適合」の見極め方」では、ロボット式自動倉庫の分類に加えて、比較時に見るべき判断軸や、現場条件との相性を確認するためのポイントをより詳しく整理しています。 

自社に合うロボット式自動倉庫をどう選べばよいかまで整理したいという方は、ぜひご覧ください。 

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