Use Case

【後編】ネスレ日本株式会社 × ASKUL LOGIST株式会社

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どんな時でもお客様に安定して商品を届けたい。
パートナーと共に精査を重ねてAMR導入。

物流倉庫の省力化・効率化を検討されている企業の皆さまへ。ラピュタロボティクスの製品を導入した企業の事例を通じて、実際の「AMR導入のリアル」をご紹介します。ラピュタPA-AMRの導入事例について、企業へのインタビューを交えながら、その効果とメリットをお伝えします。


ネスレ日本株式会社(ASKUL LOGIST株式会社 西日本物流事業本部 ASKUL Value Center 関西内)

業種:飲料、食料品、菓子、ペットフード等の製造・販売
AMR導入台数:12台
AMR稼働日:2024年7月〜


今回ご紹介するのは、荷主である「ネスレ日本株式会社」が、3PLの「アスクルロジスト株式会社」と共に西日本の拠点であるASKUL Value Centerに「ラピュタPA-AMR」を導入した事例です。

将来的な人手不足に備え、さらに繁忙期でもお客様に安定的に商品を届けることを目指して、倉庫の出荷プロセスを徹底的に見直したネスレ。パートナーであるアスクルロジストと協働して「ラピュタPA-AMR」を導入した背景や経緯について語っていただきました。

前編では3PLを担当するアスクルロジスト様、後編では荷主であるネスレ様にインタビューを行い、事例をご紹介します。

<お話を伺った方>
山田 亮太さん/ネスレ日本株式会社 サプライ・チェーン・マネジメント本部 物流部 ECサプライチェーン課 課長


INDEX

  • 自動化機器導入検討の背景
  • 倉庫オペレーションの課題
  • 導入のきっかけとなった出来事
  • AMR導入による目的や目標
  • 情報収集の方法
  • 比較検討の具体的なプロセス
  • 効率化のポイントはピッキング改善
  • ラピュタのAMRを選んだ理由
  • AMR導入後の社内の声
  • 今後の事業及び物流プロセス全体における展望


Q.荷主である御社と3PLのアスクルロジストさんの関係性について教えてください。

弊社とアスクルロジストさんは、お客様により良いサービスを提供するために、共に切磋琢磨するパートナーです。単なる出荷業務の依頼関係ではなく「お客様にとって何が最適か?」を共に日々模索しています。目先のキャンペーンに関する情報共有だけでなく、長期的な視点を持ちながら、持続可能なオペレーション環境の構築を目指し、継続的に話し合いを続けています。

Q.自動化機器を導入しようと検討を始めた時期を教えてください

2022年7月に、EC倉庫の運営体制を1社体制にしました。
その時は、商品のラインナップが大幅に刷新され、倉庫のネットワークも見直すタイミングでした。1社体制での稼働が2ヶ月ほど経過した2022年の9月頃に、次のステップとして『今後どのように改善していくか』を考える中で、自動化システムの導入を検討し始めました。

Q.検討に至る背景には、どのような課題がありましたか?

倉庫のオペレーションについては、部分的にマテハン機器を使って自動化していましたが、ピッキング作業は依然として人が台車を押し引きして行っていました。そのため、将来的な人手不足のリスクを考えると、安定的な出荷をどう維持するかが課題でした。また、季節に合わせてキャンペーンを実施する事が多いのですが、出荷量が急激に増えるため、倉庫のオペレーションに大きな負担がかかっていました。キャンペーンが決まるのは1ヶ月半から2ヶ月前で、その都度、新たな人員を確保してもらう事に課題を感じていました。実際、今年の11月初めにも同じような状況がありましたが、ロボット12台の稼働によってスムーズに対応できました。もしロボットがなければ、10人規模の人員を追加しなければならなかったと思います。現在はロボット12台に対して5人のスタッフがいれば対応でき、少人数の増員で出荷量を一気に増やせる体制が整っています。今も課題は完全に解消されたわけではありませんが、ロボットの導入によって人員の負担が大幅に軽減されたと感じています。

Q.導入のきっかけとなった出来事やエピソードがあれば教えてください。

自社通販の商品ラインナップが一新されるなど、ビジネス全体の方向転換がありました。その際、出荷拠点の見直しを行い、アスクルロジストさんの倉庫1拠点体制へと移行しました。このタイミングで、倉庫の出荷プロセスが適切かどうかを見直す機会が生まれました。
特に大きな影響を受けたのは、コロナ禍での海外、特にフィリピンなどでのロックダウンです。これにより、出荷が止まり、通販やBtoBの両方で同様の課題に直面しました。この状況がきっかけとなり、省人化の必要性が一層強く認識され、2021年から2022年にかけてオートメーション化を進める動きが加速しました。

Q.ロボット導入による目的や目標について教えてください。

私たちの目標は、将来的な人手不足に備え、繁忙期でもお客様に安定的に商品を届けることです。そのためには、高い生産性を維持し、さらに向上させるための取り組みを続ける必要があります。
もちろん、安定的に商品を届けることは最も重要な要素ですが、それだけでは十分ではありません。弊社の商品には、ペットフードのように20キロもの重量があるものや、ボトルコーヒーのような商品があり、現在のロボットではこれらの大きな商品に対応できないのが現状です。
倉庫内にはまだロボットを活用できていないプロセスが多く残っており、最終的には倉庫全体のプロセスをロボットを使って最適化することが目標です。

Q.御社が自動化機器の検討をはじめる前に、3PLであるアスクルロジストさんには「ASKUL Value Center 日高」でAMRを導入した実績がありました。検討の際にはこちらの導入実績は参考にされましたか?

当初は、自動化に関する情報は全く伝わってきていませんでした。「ASKUL Value Center 日高」の規模は商品数が約10万点程度あると思うのですが、弊社の場合、SKU(Stock Keeping Unit)は100程度です。業態やラインナップ、ビジネスの特性が異なるため、アスクルロジストさんの中で「ネスレのビジネスにはロボットは合わない」という先入観があったのではないかと思います。そのため、当初はロボットの導入を提案されることもありませんでしたし、私たちも特に興味を持っていませんでした。正直「うちには合わないだろう」と思っていたのです。
その後、弊社側からAMR導入の可能性についてお話させていただいた際、現場担当者から情報をいただき「ASKUL Value Center 日高」を訪問して実際のオペレーションを見学させていただきました。

Q.導入検討にあたって、どのように情報収集しましたか?

情報収集については、アスクルロジストさんがロボットを導入しているということで、その動きについて話を聞いたり、弊社もグローバルで多くの事例があるため、そちらも参考にしました。
また、ラピュタロボティクスさんのホームページに掲載されている導入実績も確認しました。特に印象的だったのは「京葉流通倉庫」です。実はあそこでは、弊社のチョコレートを取り扱ってもらっているんです。「こういうところでもロボットを導入しているんだな」と感心しました。様々な事例を見るうちに「弊社でもこういった導入が可能かもしれない」と感じました。

Q.比較検討の具体的なプロセスはどのように進めましたか?

非常に多くのプロダクトを検討しました。まず、最初に目をつけたのはコンベヤシステムでしたが、結果的に商品落下の問題が解決できず、導入を見送りました。次に、別の自動化システムを検討しましたが、初期投資が非常に高額で、既存の仕分け機能との親和性も低く、コスト面での効果が薄いと判断しました。また、他社のロボットシステムも検討しましたが、こちらもコストが高すぎるため導入を見送りました。
このように生産性・品質・安全性・コスト・スペース効率・BCP対応への柔軟性など、多角的な観点から評価し、社内やアスクルロジストさんと協議を重ね、最終的にラピュタロボティクスさんのAMRが最も適していると判断しました。

Q.様々なアプローチを検討されたとのことですが、結果的にピッキング改善をしようと決まった経緯を教えてください。

最初に「どの工程を重点的に改善すべきか」を徹底的に分析しました。各工程に何人の人員が必要か、例えば入荷には2人、保管には1人など、1オーダーを出荷するためにどれだけの人員がかかっているかを調べたのです。具体的には、1日に3台のトラックが来る入庫作業を2人で対応した場合の処理効率を計算。結果として、入庫作業は1人でも非常に効率的で、ここには手を加える必要がないと判断しました。次に、各工程の生産性を確認した際、最も時間がかかっていたのは仕分けとピッキングであることがわかりました。仕分けはすでに機械化されていて、倉庫全体として大きな投資を行っている部分なので、改善は難しい状況。一方で、当時のピッキング作業は紙を発行してメモを取り、作業者がカートを押して倉庫内を回るという古いやり方で、全く効率的ではありませんでした。こういった経緯で、改善の焦点をピッキングに絞ることになりました。

Q.様々な検討を経て、最終的にラピュタのAMRを選んだ理由・評価した点を教えてください。

今回の導入の大きなポイントは、私たちが倉庫を“直接運営していない”点です。倉庫運営については、アスクルロジストさんにお任せをしつつ、荷主側である我々もアスクルロジストさんに対してリクエストをさせていただくという形で協業させていただいております。それゆえ私たちがどんなに良いと評価したソリューションでも、パートナーであるアスクルロジストさんに一方的に押し付けることはできません。だからこそ我々だけでなくアスクルロジストさんもそのソリューションを『好きになれるか』という点を非常に重視しました。
ラピュタのAMRは「ASKUL Value Center 日高」での導入実績があり、信頼できる点に加えて、既存のオペレーションとの親和性が高いことも評価されました。特に、仕分けのプロセスを崩さずにピッキングに特化し、生産性を向上させる点は素晴らしいと思います。また、万が一システムトラブルが原因でロボットが止まってしまった場合でも、すぐに元のプロセス(作業者による手作業のピッキング)に復帰できるという安心感がある点も大きなメリットです。これらのような様々なメリットに加えて、最終的には倉庫側がこのソリューションを受け入れやすいという点が最も大事な要素だったと感じています。

Q.AMR導入後の社内の声について教えてください。

今回のAMR導入は、弊社日本の3PL倉庫で初めてのロボットの導入でした。導入後は社内から「ロボットの動きが予想以上に速い」や「近未来的なオペレーションになった」といった声をいただいています。また、倉庫の現場に普段関わりのない方々からも「興味が湧いたので訪問してみたい」という声が寄せられています。私自身にも「すごいプロジェクトをやり遂げたね」という言葉をいただき、うれしいかぎりです。

Q.今後の事業及び物流プロセス全体における展望についてお聞かせください。

自社通販を取り巻く環境は、今後も変化していくことが予想されます。これは、自社の商品ラインナップや事業戦略といった内部の変化だけでなく、人手不足などの外部要因も含まれます。物流プロセス全体としては、オペレーションの柔軟性をさらに高め、将来のリスクに備えることが重要だと考えています。
弊社には、アスクルロジストさんの倉庫以外にも出荷拠点があり、物流全体の最適化、いわゆるEnd to End物流のプロセス改善を目指しています。今後ともアスクルロジストさんと引き続き協力しながら、様々な取り組みを進めていきたいと考えています。

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