
あらゆる状況、変化に対応
独自のブロック構造で自由な形にレイアウトが可能なラピュタASRSは、自在型自動倉庫として従来の自動倉庫では応えることができなかった複雑な形状、防火区画をまたいでの設置など幅広いシチュエーションに対応でき、さらに数年後の近い将来ですら見通せない変化が激しい現在において、あらゆる変化にも対応できるという特徴が、様々な業種の多くのお客様より関心をいただいています。
本記事では、その自在型自動倉庫とは具体的にどういうことなのか、そしてそれによってお客様にどのような利点があるのかをご紹介して参ります。
「形状」が自在
上の動画からもわかる通り、ラピュタASRSは独自のブロック構造によりブロック単位でどんな形状にも自由自在にフィットします。柱型、梁型をかわして設置ができるだけでなく1Fと中2階などフロアをまたいでの設置、さらには防火区画をまたいでの設置が可能です。また、免震構造に由来するアンカーレス設計により、建屋の2階や3階にも設置できるだけでなく、賃借物件であっても原状回復を気にせず設置することができます。
これによるお客様側でのメリットは、何と言っても既存現場の内部形状が歪なものであったとしても、高さ方向の空間も含めてフルに活用できる点がまず挙げられます。ASRS(Automated Storage and Retrieval System/自動倉庫システム)は空間をこれまで以上に有効活用し、倉庫容積に対する保管効率を向上できる点が最大の利点の一つですが、ラピュタASRSはきれいな直方体構造で自動倉庫を構築するシステムではなく現場形状にフィットさせることができるため、「自動倉庫内で高い保管効率」を発揮するのではなく「倉庫/工場空間全体の中で高い保管効率」を発揮できます。また下記の事例が示す通り、1Fと2Fに設置し、隣接する吹き抜けスペースにも設置してそれら3区画分を防火区画をまたいで連結し、1台の自動倉庫として稼働させることも可能です。
従って、複数区画にまたがって設置して入出庫時に区画を超えて保管や搬送を行いたい場合や、現場に動かせない既設設備がある場合でも、ラピュタASRSは自在にその形状をカスタムし、あらゆる現場にフィットさせることで倉庫空間全体での保管効率向上、長い搬送距離を要する取り回しが行えます。
形状の自由度によるお客様の利点:
- 自動倉庫内ではなく、現場空間全体の中での保管効率向上
- 防火区画をまたいでの設置で、より広範な自動化が可能
- 区画をまたいだ設置で、より大規模な倉庫自動化が可能。
- 中2階(メザニン)の設置などで歪な形状になっている現場でも設置が可能 など
「規模」が自在
独自のブロック構造と免震構造に由来するアンカーレス設計のラピュタASRSは、導入後にもその自在性からの利点をもたらします。現場で運用変更が必要になった時には自在にレイアウトを変更することができ、取扱物量が増大した際には、規模拡大にも勿論柔軟に対応することができます。
しかし導入後の規模拡大は、他の自動倉庫でも行えます。ではラピュタASRSの規模を拡大する時、他にない利点はどういうものがあるでしょうか?それは、単なるサイズを大きくするだけの規模拡大だけでなく、最後に触れる「運用」の自在性との掛け合わせです。物量が増加し、自動倉庫の規模拡大が必要になるということは、様々なケースがその背景として考えられます。例えば…
- 既存の出荷先には無い、新たな出荷要件が追加される
- 物量が増加しても荷合わせや梱包に割けるスペースは変わらず、ボトルネックになる
- 商品保管時の管理方法に、先入先出や期限管理など、これまでにない運用が必要になる
- 自動倉庫は規模拡大できるが、ソーター等の他設備も能力上限を超えてしまう
物量が増加するということは、必ずしも現在扱っている商品の物量がそのまま底上げされるケースばかりではなく、未経験の運用を導入しなければ対応できない、あるいは後工程のスペース的な制約をクリアしなければならないというケースも想定されます。そして、自動倉庫からの出庫後にソーターで仕分けを行っている、シャトルラックで搬送を行っている場合は、それら他設備の能力やレイアウトが課題になる可能性もあります。ラピュタASRSは、「形状」と「運用」の自在性により、単にサイズを大きくするだけでなく、物量増加対応「後」の最適な運用をもって規模の拡大が行えます。
規模の自由度によるお客様の利点:
- 「形状」の自在性で、対応後の運用に最適な躯体の規模拡大、ロボット増設による能力向上が可能
- 「運用」の自在性で出荷方法に応じたラピュタASRS内での作業内容変更(詳細は後述)
- 防火区画をまたいだ設置により、複数区画や複数フロアにまたがった1台の自動倉庫へのアップグレード
「移設」が自在
製品や導入規模にもよりますが、自動倉庫は大抵の場合、大掛かりな工事を要する固定設備です。躯体の設置工事だけでなくアンカー工事などの付帯工事も必要となる場合も多く、導入時のイニシャルコストの金額面だけでなく、経営層の方にとっては固定設備に数億円規模の投資を行うことに対して「中長期的なリスク」という懸念もあるでしょう。
対照的にラピュタASRSは、設置時にアンカー工事が不要なアンカーレス構造となっているため、固定設備ではなく据え置き型の自動倉庫となっています。このアンカーレス構造はラピュタASRSの躯体の免震構造化にも寄与する重要な要素となっており、上の動画にある通り国内の第三者機関で耐震試験も行っています。こちらの評価試験では、阪神淡路大震災(縦揺れ)と東日本大震災(横揺れ)時の地震を再現した加震を行い、躯体の損傷や保管物の飛び出し等が発生せずに試験を終えることができています。(注:本評価試験は必ずしも大規模な地震に耐えるものを保証するものではありません)
アンカーレスで据え置き型ということは、従来の固定設備として導入する自動倉庫とは違い、移設に対応できるということでもあります。現在は、たった2~3年先の未来ですらどのような変化が起こっているか予測がつかない時代です。企業としても、投資を行う際にはこれまで以上にリスクを考慮する時代になっていると言えます。物流においては配送ルートの最適化やトラック1台あたりの走行距離短縮などの貨物輸送の最適化の一環で、拠点を移したり新設する企業も増えています。製造業においても外部環境の変化で製造品目の変更や多品種少量対応など、あらゆる変化が目まぐるしく起きています。そんな時代だからこそ、ラピュタASRSは外部環境の変化に伴って他拠点への移設が必要になった時、あるいは製造品目の変更で生産ラインの組み換えが必要になった時も、柔軟に、そして最小限の時間とコストで対応することが可能です。ROI(投資対効果)とはまた違った側面でのお客様の利点として、移設が可能であるという特徴は、ラピュタASRSを導入いただいたお客様の中長期的なリスクを低減することにつながります。
移設の自由度によるお客様の利点:
- 固定設備となる従来の自動倉庫と違い、他拠点への移設が可能
- 生産ラインへの払い出し用途においても、ラインの組み換えに対応可能
- 上記により、ラピュタASRSへの設備投資による中長期的なリスクを最小限に抑えることが可能
「運用」が自在
ラピュタASRSでは、全フロア全スペースにロボットが直接アクセスできる独自設計となっています。これは、自動倉庫内でどのように商品を取り回すのかをロボットの制御の仕方一つで如何ようにもカスタムできることを表しており、お客様たる出荷先の求めに応じてあらゆる運用に自由自在に対応することが可能です。
ラピュタASRSでは、中継拠点(TC)で求められるような入庫→仕分け→出庫という運用にも対応できますが、多くの場合は上図のようにピッキングから出庫までの間に仕分けや順立て等のプロセスをラピュタASRS内で行うかどうか、という点が運用面でのポイントの1つになります。
倉庫内作業は「労働集約型」や「属人的」といったネガティブな表現で語られることが多い昨今ですが、現場がこうした特殊な運用になってしまうのは、ひとえにお客様たる出荷先の要望に丁寧に対応を行い、それを積み重ねてきた現場サイドの努力の賜物です。出荷先の方でもその対応を評価されているからこそ、その特殊な運用が続いています。私たちラピュタロボティクスでは、出荷先のご要望に応じた出荷方法に合わせ、如何ようにも運用をカスタムできる柔軟性を備えることで、現場だけでなく出荷先の皆さまの満足度も向上します。
事業成長を支える現場をつくり、設備投資リスクを最小化
これまで見てきたように、ラピュタASRSは求められる出荷方法や現場運用、建屋の物理的制約など様々な条件に応じて「その現場専用のシステム」をカスタマイズして構築する自動倉庫です。人手作業を効率化×標準化することでスポットワーカーも即戦力化し、後工程でのステップを削減したり円滑に連携を行うことで、人手不足が更に悪化した将来でも、これまで以上の物量を安定的に出荷できる現場を実現します。その鍵となるのがまさに「自在型」の部分なのです。
また、一般的なASRS(自動倉庫)が固定設備であるのに対して、ラピュタASRSはアンカー工事を行わない「据え置き型」の自動倉庫であるため、導入後のレイアウトや運用変更、他拠点への移設にも対応が可能で、その際にも最小限の時間とコストでそれを実現することができます。
今日ではVUCAの時代と言われるように、ほんの数年後にどのような変化が起こり、世の中がどう変わっているのか誰にも予測ができない時代となっており、特に設備投資を行う際にはリスク評価が非常に難しくなっています。私たちラピュタロボティクスでは、ラピュタASRSをはじめ製品のご提案時にはROI(投資対効果)を試算してご提示しているものの、ROIとはまた別の観点で、このような中長期的なリスクに配慮ができる自動倉庫となっている点は、ラピュタASRS独自の強みです。
そして、自動化を通した「効率化」だけでなく、誰が作業しても同じ品質、スピード、正確さという業務「標準化」を実現できる多重ミス防止機能を備えたピッキングステーションもラピュタASRSは、単なる倉庫自動化ソリューションではなく、今後もサステナブルに人とロボットが上手く協業し、人にやさしい職場環境を構築する上でも、幅広い業種のお客様にお役立ていただけるソリューションです。
製品紹介ウェビナー(録画版)
本ウェビナーでは、ラピュタロボティクスの自在型自動倉庫「ラピュタASRS」の主要機能、それによるお客様現場のメリット、そして2024年9月時点での採用事例について30分でご紹介いたします。
ラピュタロボティクス製品の実機に触れる
ラピュタロボティクスでは、お客様個別で実際の商品を使用した弊社ショールームでのデモ、お客様拠点への出張デモ、そして全国巡業でのデモイベントに展示会など、定期的に実機に直接触れていただきながら詳細な現場要件への対応可否をお話する機会を設けています。是非以下よりデモのリクエストや最新のイベント情報をご確認ください。デモのリクエストはご連絡後に開催場所や実施時期など詳細をご相談させていただきます。