東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2021」(2021年10月13日~15日)を見に行ってきました。注目の物流ロボットや気になる情報をピックアップ。2回に渡りレポートいたします!
ロジスティクスのマテハン関連やソリューション、システム関連のメーカー、ロボットメーカー、大手不動産デベロッパーなどが一堂に会するこのイベント。
当日は緊急事態宣言が解除となった後ということもあり、万全の感染対策を施した会場は、多くの来場者で賑わいました。
その中でも、物流ロボット関連の出展は多数。実際に動く現物が見ることができ、ネットの情報収集だけでは知り得ない、リアルイベントだからこその貴重な情報も多く、来場者の注目を最も多く集めていた印象です。
すでにさまざまな導入事例が増えてきた物流ロボットですが、先行して開発してきたメーカーの存在感は会場内では際立っていました。 また新規参入のメーカーのなかでは、これまでのモデルでカバーできなかった細かい課題解決に特化したものもありました。
さらに、異なるマシン同士を連携して動かせるソリューションを披露するデモなども多く行われ、物流ロボット単体の性能のみならず、役割の異なるロボット同士の連携もキーワードでした。
それでは、出展ブースの中から注目したものをピックアップしながら、物流ロボット導入についての最新事情を紹介しましょう。
国内メーカーによる新型AMRが続々登場
新たに参入した国内メーカーによる新型AMRが多く展示されていました。
AMRのなかでも新たな発表は、寺岡精工ブースで展示されていた自律走行式ピッキングカート(AMR)です。上下2段にそれぞれオリコンを2つずつ、計4つのオリコンを運ぶことができ、既存のAMRよりも輸送量がアップしているのが特長です。長さが130cmほどあるので、通路幅の狭い倉庫などでは取り回しが難しそうですが、逆に比較的通路幅があって1回のピッキング量が多い中型倉庫などでは大活躍しそうです。ピッキング指示を受信したカートが最適ルートを構成し、ピッキング作業者の待つエリアまで自動走行。完了したら払い出しエリアまで行ってくれるという、既存AMRと同様の動きをしてくれます。
ここには倉庫関係者などが多く訪れて熱心に質問をする風景が見られ、会場内でも注目度が高かった印象です。後述のラピュタロボティクスやシリウスなど、既存のインフラやロケ配置、人員を維持した省力化を進められるAMRのような協働ロボットのニーズは引き続き高そうです。
NECが開発しているのは、協調制御された前後2台のAMRやAGVでカゴ台車や荷物を挟んで、重い荷物もスピーディかつ安全に運ぶというもの。台車と治具のつけ外しが不要で、台車を限定せず、運用変更も容易にできるそうです。残念ながらデモはありませんでしたが、大型アイテムを扱う倉庫などで活躍しそうです。
物流ロボットは月額リース対応プランが多数登場
物流ロボットの料金などもリースプランが各社充実してきており、導入はかなり現実的になってきているようです。三菱商事の「Roboware」は設計・導入から運用・保守までをサポートする、月額制の物流ロボットリースサービス。例えばGreyOrangeの棚搬送型GTPは月額25万円(10台~20台導入の場合)で、初期費用をプラスすれば導入が可能とのこと。
本格導入前のテスト導入では、こうしたリースサービスを利用して検証できるようになってきています。
サードパーティ製の物流ロボット周辺機器も出展
モノリクスというメーカーでは、サウザーやキャリロなど各種AGVのレンタルや導入支援を行いつつ、AGVにカゴ台車を連結して牽引できるオリジナルの治具ユニットを展示。簡単に連結でき、重いカゴ車もスムーズに動きます。馬力のあるAGVに連結すれば、1回の輸送量も増やせて大きな効率アップに繋がります。各社のAGVに対応させているそうで、デモンストレーションでの注目度も高かったです。こうした便利なサードパーティ製ギアも続々登場しており、物流業界の中にロボットが違和感なく浸透してきているのを感じました。
異なる役割の物流ロボット同士の連携
例えば、ピッキング用小型ロボットアーム+AGVやAMRとの連携といった具合に、異なる役割のロボット同士を連携させて、倉庫全体の業務量を減らしていくためのソリューション提案が多数見られました。自律搬送ロボットを開発から手掛ける国内唯一のメーカーである株式会社匠のブースでは、実際にロボットアームがピッキングした荷物をSLAMが運んでいくデモンストレーションも見られました。
また、ピッキング向けに作られた小型のピッキングアームの展示も多く、需要の高さをうかがわせました。
前編まとめ
今、日本の物流業界で人手不足は深刻で、業界全体がその悩みを抱えており、解決策を求めています。「物流にロボットを導入する」は、SFの世界の出来事ではなく、すでに規定路線となっているのを肌で感じました。
そして、各種サードパーティや代理店サービスの進出、不動産デベロッパーの倉庫業拡大など、ロボット導入が進んだあと必要とされるであろうビジネスの形も多く見ることができました。
また物流ロボットを扱う各社で、月額リース契約のプランなどが充実してきたのも印象的でした。物流ロボットをテスト導入し、本格的な投資判断を行うことができるようになってきました。リスクを軽減しながら明確な効果を上げやすい投資案件となってきているのです。
おまけ
ケルヒャージャパンもブース出展。まさかあのケルヒャーの高圧洗浄で自動ロボットが!?と期待したのですが、今回は有人運転のカートのみの出展でした。しかし担当者に聞くと、来年に向けて自動運転ロボットも開発しているとのこと! これもケルヒャー好きには気になるところですね!