※シングルピッキングをマルチピッキングに変更したエリアにおいて
2020年12月、ラピュタロボティクス株式会社は京葉流通倉庫株式会社様にてピッキングアシストロボ ラピュタPA-AMRを20台稼働させたことを発表致しました。
京葉流通倉庫様は、関東一円に多くの物流倉庫をもち、製造業の物流業務から、スーパーやコンビニなどの流通系のロジスティクスまで、幅広い分野のジャンルで3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)を手掛けられている会社様であり、40年以上前からシステムを中心に倉庫内DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組まれてきました。
今回は、実際にラピュタPA-AMRを導入した京葉流通倉庫株式会社様を取材させていただきました。
図1:埼玉県労働人口推移
導入前はどのような状況だったのか?
埼玉県南部の川口市や越谷市などは、大きなショッピングモールなどもあるようにベッドタウンとして東京近辺に通う人も多く、また人口も多いことで有名な都市です。中でも京葉流通倉庫様の今回の対象拠点である岩槻倉庫周辺には新⼤型倉庫が複数建設されており、国道16号線を境にした北部⼈⼝も減少傾向(図1:埼⽟県、⼈⼝)で、⼈が集まらず各社⼈材の取り合いのため⼈材獲得競争が勃発。⼈材獲得コストもどんどん上昇しており、時給相場が毎⽉上がっている状況で、スタッフの確保もなかなか厳しい状況。日に日に厳しくなる人材雇用難の最中、既存の人員だけで、より生産性を上げなければならない現状に、日々改善をされながら向き合われている状況でした。
こちらの倉庫様では、従来では移動や搬送からピッキングまで全ての作業を人手で行っていました。具体的には、事前に出荷オーダーを元に作成されたピッキングデータがダウンロードされたタブレットやハンディターミナルを⾒ながらピッキング。50Lオリコンを載せたピッキングカートを作業者⾃ら搬送し、指示されたロケーションまで移動、オーダーされた商品をピッキングしオリコンに格納をしていく。そして次のロケーションへ移動し商品をピッキング。(図2)人材確保難の最中、日用雑貨品、ペット関連商品、アパレル製品等を中心とした小売店様に対応していかなければならず、人手作業に頼ったこのピッキング方式では賄えない日が来る、そんな危機感を感じられていました。
図2:従来の作業の様子(左:ピッキング指示確認 右:搬送)
導入検討の経緯
ピッキングの⾃動化を図る上で、検討当初は⼤型の設備を視野に⼊れ、GTPを中⼼に⾃動化検討をされていた京葉流通倉庫株式会社様。仮に上記のような自動倉庫を導入するとなると、導入する際に大規模工事が必要なため、現状おこなっている出荷作業を止める必要があり、お客様から頂いた出荷を自社都合で止めるわけにも行きません。
また、何億という初期投資となり、現作業の要求能⼒などの観点からも投資回収が難しく、計算上⼤幅な⼈員削減をしてもコスト回収に⻑期間かかるため、悩みながらもギリギリで投資計画をキャンセルされたそうです。
このように、自動化という未来に対して、工事にともなう停止期間と投資金額等「大きな決断」をしないといけないことも多々あります。
つまり、大きな投資額をかけたからといって、必ずしも効果が出るわけではないという観点からも、 1 精緻な計画を立てること 2 投資額を抑制した自動化計画を立てることが大切、というわけですね。現場の方の悩みを我々のような技術会社はきちんと理解をし、お客様に寄り添いながら一緒に解決をしていかなければならない、というように今回のインタビューを経て、感じました。その後、協働ロボットに検討先を広げた中で、海外ベンダー様と比べて50Lオリコン対応が柔軟にできるとのことで弊社にご興味をいただきました。弊社の中でも他自動化機器との比較は都度行っておりますが、投資額を抑制した上でフレキシブルに自動化を進める、という強みが先方様と合致、導入に至りました。(図3)
図3:他自動化化機器との比較
興味をいただいてから実際の導入までに何度もシミュレーションなどを用いて理論的に生産性を試算し、実稼働に至りました。
図4:検討〜導入までステップ
稼働から約半年で、少しずつ効果を実感し始められているそうです。これまでの全て人手ピッキングからの変更点として、シングルピッキングをマルチピッキングにしたことが大きく生産性に影響し、2022年9月現在、約2倍に。現在も全ての出荷における生産性の平均値を上げるためラピュタと生産性向上に向けて取り組んでいます。(図5)
図5:AMR導入後の様子
今回、取材にご協⼒いただきました飯塚執⾏役員様、誠にありがとございました。このように現場改善が数値として表れると、我々としても⾮常に嬉しく思います。⼀⽅でまだまだ改善する箇所もあり、京葉流通倉庫株式会社様と共に引き続き改善に取り組んでおります。
弊社としても、実機を導入して終わりではなく、現場作業がより改善されるように継続していきたいと思います。
それでは、また!